千葉県内を中心に福祉用具レンタル事業を展開するシルバーとっぷ。同社の創業者、外山慎司氏は、若くして起業し、苦労を重ねながら事業を拡大してきた。お客様に喜びを感じていただくことこそが、結果的にビジネスを成功に導く原点になると考える外山氏の座右の銘は、起業直後に読みあさった本の中にあった詩人・坂村真民の「念ずれば花ひらく」という言葉だった。
当社では、社員の価値観を合わせるために、クレド(ラテン語で「志」「信条」「約束」を意味する言葉)を作り、いわば「会社のおきて」にしています。そのクレドに記載した「念ずれば花ひらく」という言葉が私の座右の銘です。この言葉に出逢ったのは、創業後間もない頃でした。当時は、福祉用具レンタルという業種は存在せず、先輩の経営者もいません。そこで会社経営の参考にしようと、松下幸之助氏や稲盛和夫氏など、多くの起業家の本を読破しました。そうした本の中で坂村真民のこの言葉に巡り合ったのです。
私は、小学生のときに、「将来は社長になる」と人生プランを設計しました。起業して社長になってその言葉に出逢ったとき、人生プランの通りに生きてきたそれまでを振り返り、「念ずれば花ひらく」という言葉に嘘偽りはないという思いが心に焼き付きました。自分の目指した人生を歩いている人は輝いていますし、人が最も輝くのは自分がやりたいことをやっているときです。そういうときは、辛くも苦しくもありません。私自身も創業直後は、車中泊を繰り返しながら千葉県内の病院や老人ホームに営業に回ることもありました。他人から見れば辛そうなことでもまったく辛いことはなく、とても楽しかった思い出です。
そうした経験から、当社は社員がやりたい仕事をやらせてあげる会社を目指しています。社員が欲するものを提供することが経営者の役目であり、それによって社員は人としての輝きを増していくと考えています。
自分自身が進む道を強く念じれば念じるほど、その通りになるものです。これは、どの企業の経営者もそうだと仰ると思います。
(大塚商会 創業50周年記念 座右の銘 2011年10月26日掲載より、一部抜粋)